『パッパパラダイス』の歌詞の特徴として、「過去の宇多田ヒカル曲を思い起こさせる言葉遣い」がある。
まずは『Goodbye Happiness』かな。そもそも『無意識の楽園』=「アンコンシャス・パラダイス」ですもんね。更に『追いかけた夏』に対して『雲一つない summer day」、『+キャンディ or グミ」に対して『甘いお菓子』と、複合コンボで関連性を示唆している。まとめると、
パッパラ/グッハピ
パラダイス:楽園
夏:summer
キャンディorグミ:お菓子
となる。片方がカタカナ(英語)ならもう片方は漢字(日本語)という対応になっている事からも、これは意図的にヒカルがイメージしている可能性が高いね。
他にも、『大空で抱きしめて』も少し匂わせるかな。こちらの曲は『晴れた日曜日の』から始まる一方、パッパラTV ver. は『晴れの予報』で曲を締める。『雲の中飛んでいけたら』の一節は『羽ばたく君を追いかけ』ているかのよう。そんなパッパラの『夏』に対して『夏の花が散る頃には』と返してるのだと思うと、この2曲は贈答歌と返歌の関係なのかなと思えてくる。これはヒカルが意図してるかどうかは半々かな。テーマが共通しているというのは間違いないだろう。ちびまる子ちゃんのEDカットで母を抱きしめてる姿を見せられると更にその思いは強まる。アニメ放送のある『日曜日』ってキーワードも効いてるしな。
ピンポイントだが、『(スイカのバッグに)財布は入ってない』と歌われると、どうしても『気分じゃないの(Not In The Mood)』の『ロエベの財布から出したお札で買った詩を読んだ』の一節を思い出してしまう。ここの対比はまさに「子どもと大人」そのもので、また別項を設けて詳細に検討しないといけない気がする。
3曲の発表年はそれぞれ、
『Good Happiness』が2010年、
『大空で抱きしめて』が2017年、
『気分じゃないの』が2022年、
という風に満遍ない。27歳で幼い頃を思い出して?、33歳で母を想って、38歳で締切に追われてそれぞれ書かれている。どうにも、『パッパパラダイス』は、「歴代の宇多田ヒカル総がかり」の印象に帰着する。メッセージの熱量そのままに、気合の入った創作だった事が窺える。ほんに、ファミリー向けアニメの歌だからってシリアスに捉えずにこの歌をスルーするのは勿体無いですよ。というか宇多田ヒカルを何だと思っているのやら。『PINK BLOOD』の『私の価値がわからないような人に大事にされても無駄』って、こういう状況についても指せる気がしたよ。